皆さんは”郊外拠点”と聞いて何処をイメージするだろうか?
関東の方なら「町田、立川、八王子、吉祥寺、三鷹、中野、赤羽、川口、浦和、松戸、市川」あたりを想像するかもしれない。関西であれば「高槻、枚方、千里中央、布施、尼崎、西宮北口、堺東」といったところか・・・
しかしここで挙げた関東と関西の”郊外拠点”の規模には大きな差があるように見える。
ではなぜ関東と関西で郊外拠点の発展度合いが大きく異なっているのだろうか?今回はその要因について3つの視点から検証していきたい
1.単純な都市規模の違い
元も子もないが、両都市の都市規模の違いが理由の一つとして挙げられる。関東大都市圏の人口が3500万人に対して京阪神大都市圏は1800万人と倍近い差がある。郊外の発展度合いに差ができるのも当然と言える。
また東京圏のほうが面的な広がりが大きく、郊外在住の住民からすれば都心部へのアクセス性が悪い。そのため手近な距離に拠点があることへのニーズが大きかったとみられる。
2.都市構造の違い
東京圏は東京に都心が集中した一極集中型なのに対して、京阪神圏は京都/大阪/神戸に分散した多極型の都市構造をしている。
仮に通勤が一方向のみであれば、その街より外側の住人(例えば武蔵野であれば立川市民)は必ずその街を通るので拠点を形成しやすい。一方で多方向に通勤が発生していると、拠点が形成されにくい傾向がある。(都心機能が分散しているので郊外拠点の必要性が薄い)
3.並行路線の有無
最後の理由として並行路線の数を上げる。京阪神は”私鉄王国”と言われる通り、JRと私鉄が各方面で競合している。それぞれが郊外拠点駅を持っており、更に言えばJRよりも私鉄の拠点駅の方が発展している傾向がある。
阪神間の例で見ると、尼崎は阪神>JR・西宮は阪急>JRとなっており、私鉄が平行するJRよりも優位な状態にある。各拠点駅が分散していることも一つ一つの拠点性が高まらず、発展を阻害する要因になっていると考える。
まとめ
1.東京圏に比べ面的な広がりが小さく、郊外拠点の必要性が低い
2.多極分散型の都市のため、郊外拠点の必要性が低い
3.私鉄とJRが平行してそれぞれ独自の拠点駅を保持しており、集約化されない
4.裏を返せば郊外拠点が要らないくらい都心が近くて便利とも言える