「昔に比べて雪が減った・・・」
このような言説を聞いたことはないだろうか?
筆者は幼少期より、両親祖父母と様々な年長者から耳にタコができるほど聞かされていた。子供の時は「まあそんなものか」と思っていたものだが、「本当にそうなの?」と疑問に思えてきたので、調べてみようと思う。
疑問を感じたキッカケは、私が京都に住んでいた時に降った大雪だ。
61年ぶりの大雪とは、私の両親が生まれて以来では最大の大雪ということになる。それでは雪が減ったという理屈が通らないのではないか?と訝しんだ。
統計的に調べてみよう
今回は私が一時住んでいた「奈良」と、同じ近畿地方の日本海側である「舞鶴」、そして何となく雪が多そうなイメージの「秋田」の3都市の積雪トレンドを調査してみた。
※縦軸の積雪深の取り方は都市によって違うので留意が必要
※舞鶴のみ調査開始年が異なる(1961年)
確かに雪は減っている!
3都市とも積雪深は長期トレンドとして減少していることが判明した。特に舞鶴と奈良では10年間に10%のペースで積雪深が減少しており、減少ペースが速いことがわかる。
一方で秋田では10年間減少率が0.2%と積雪深減少速度が少ない。よって、元の平均気温が低い北国ほど積雪深が減少していない(温暖化の寄与が少ない)と仮定できる。
上記仮説を証明するにはサンプルを増やさなければならないが、ここでは証明は差し控えたい。
認知バイアスかと疑ったが・・・
似たような事例に「昔は30℃まで気温が上がらなかったのに・・」という言説がある。
これは典型的な認知バイアスだ。気象庁の統計を見ると例えば1950年-1990年の8月の平均最高気温は32.8℃であり、30℃を超えるのが日常だったといえる。人間は過去の記憶のうち、つらい記憶ほど早く忘れる傾向がある。(バラ色の回顧)
バイアスを疑うための統計リテラシー
今回は空振りだったが、ビジネスの世界でもバイアスはいたるところに蔓延っている。
このバイアスに左右されると正しい判断が出来ない、、そのため仮説→検証のプロセスを大事にして、心証だけで判断しないことが重要だ。