枝見的考察記

社会/地域/経済の出来事を斜めの視点から描きます。

名古屋圏の人口求心力低下について ~転出超過は今後も続くのか?~

総務省が発表している人口移動報告を毎月チェックしているのですが、ここ数年の名古屋・愛知・中京圏の人口求心力低下が気になったので記事にしたいと思います。

統計局ホームページ/住民基本台帳人口移動報告

 

年次単位の人口転入超過数について

愛知県の転出超過は意外な結果

ここ2年の人口転入超過数を見てみると、首都圏をはじめ大阪府や福岡県が転入超過となっているのに対し、愛知県は2年連続の転出超過となっています。

また下図の3大都市圏の人口転入超過数を見てみると、大阪圏は2019年以降転出超過数が減少基調ですが、名古屋圏では2019年以降転出超過数が1万人を超え拡大基調にあり、人口求心力が低下していると言えるでしょう。

 

 

 

 

月次単位で見ても変化が・・

また月次の転出超過数を見てみても、数年前とは中京圏の状態が大きく変化しています。東京圏を見てみると毎年3月~4月に転出超過数が多くなります。これは他地方から進学や就職で多くの人間が転居してくるからです。大阪圏も東京圏に比してはるかに小さいながら同様の傾向を見ることができます。

一方で名古屋圏は全く逆の挙動を示しており、3月・4月には多くの人が圏外に流出していくことがわかります。これは地方部と同じ傾向で人口が吸われる立場となっていることが分かります。

数年前はどうだったのか?

試しに6年前の2016年のデータと比較してみます。当時は名古屋圏が4月前後に人口流出する挙動はなく、現在みられる特徴はここ最近の変化によるものと見ることができます。

人口求心力回復のカギは産業構造の転換にある?

ではなぜ名古屋圏は人口求心力を低下させているのでしょうか?答えは産業構造にあると考えます。名古屋圏は製造業、とりわけ自動車関連に比重がよった産業構造となっています。かつて繊維産業の衰退とともに大阪が凋落したのと同様に、自動車業界の浮き沈みが名古屋圏の体調を反映しています。

 

 

 

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一本足打法から脱却し多様性のある産業構造を創り出すことが、これからの愛知・名古屋の発展には欠かせないのではないでしょうか?