2020年8月に安倍前首相が辞任を表明した後、後任の自民党総裁をめぐる選挙は菅氏、岸田氏、石破氏の3名で争われた。
その中で特に地方重視政策を打ち出した候補が石破氏であった。石破氏は農水族でもあり、地方票からの支持があついことも背景にはあるが、選挙期間中の討論やテレビ出演でも”地方”をキーワードに他2候補との違いを打ち出していた様に思える。
地方ってそもそもどこ?
”地方が大事”と口で言うのは簡単だ。ではまず地方の定義ってなんだろうか?実はこの地方の定義ははっきりと定められていない。
政府内でも異なる地方の定義
- 内閣府:東京圏以外
- 総務省:三大都市圏以外
- 国交省:三大都市圏以外
地方と一口に切り取って良いのか?
では仮に石破氏の言う地方が東京圏以外だったとする。その場合地方創生といっても、大阪圏や名古屋圏、札仙広福の地方中枢都市、その他の地方都市、農村地帯それぞれで抱える問題は大きく異なる。
例えば大阪や名古屋の抱える課題は世界都市の中でどう勝ち残っていくかで、必要なのは国の管理ではなく、自分達の創意工夫で街を活性化させる権限の付与だ。
一方で農村部は産業の衰退や人口の減少が課題であり、産業と雇用の創出で国が介入すべきことも多い。
こうした多種多様な地域があり、それに応じた課題を抱えている地域を”地方”の一言で片づけてしまうのは、問題を有耶無耶にする胡散臭さを感じてしまう。。
理念より具体策を
こうした曖昧な定義を政策主張のキーワードの据えてしまったため、石破氏は理念先行で具体性のない政策主張が多かった。
例えばWBSに出演していた際に地方創生の具体策を問われた石破氏は「それは農業であり漁業であり林業である」という趣旨の発言をしていた。地方の産業構成の9割以上は2次産業と3次産業で占められているのも関わらず、実情と乖離した主張だ。一体彼の見ている”地方”とはどこを指すのだろうか?
是非石破氏には各地域の実情を把握してもらって、具体的かつ個別化された地方創生プランを提示して頂きたいところだ。