枝見的考察記

社会/地域/経済の出来事を斜めの視点から描きます。

関西屈指の高級住宅地”学園前”在住のセレブは高級スーパー難民か?

皆さんは関西の高級住宅地と聞いてどこを思い浮かべますか?六麓荘や夙川に代表される阪神間、箕面・豊中・吹田で構成される北摂エリアは勿論のこと、学園前や登美ヶ丘を有する生駒・奈良市西部も関西有数の高級住宅地を形成しています。

 

それは自治体ごとの平均所得以外にも、大卒人口比率や管理職従事比率など様々な指標で確認することができます。(ここではにゃんこそばさんが視覚化してくれたデータを参考に貼っておきます)。

 

 

ここに挙げられている様々な高度人材の分布をみてみると、目立って阪神間(芦屋西宮)、北摂、生駒、奈良市西部に集中していることがわかります。それだけこの地域にはホワイトカラーの高給取りが多いということですが、阪神間・北摂と生駒・奈良の間で明らかに異なるポイントがあります。それは高級住宅地には欠かせない高級食材を売っているお店の数です。ここでは3つの高級食料品店分布をみることで、生駒・奈良、取り分け学園前の抱える課題について検討したいと思います。

※対象:生鮮食品を販売している百貨店

   :高級スーパー(いかりスーパー、成城石井、北野エース、パントリー)

 

阪神間

阪神間の高級食料品店(青は百貨店、橙はスーパー)

まずは阪神間の神戸市灘区~西宮市の高級食料品店分布をマッピングしました。なお百貨店のなかに高級スーパーが入居している場合は、重複カウントせず百貨店のみを表示しています。右端のピンから左端のピンまでは10kmほど、各鉄道路線の駅に近接する形で高級食料品店が立ち並んでいます。このエリアであればどこに住んでいても、富裕層が満足できる品質の食材を手に入れることができそうです。

 

 

 

北摂

北摂エリアの高級食料品店


つづいて北摂エリアの高級食料品店分布をみていきます。阪神間に比べると少ないですが、十分な店舗数が確保できていることが分かります。少しわかりにくいですが、右下にある千里丘や左側にある石橋、伊丹空港は千里丘陵から外れますので、千里丘陵に住んでいる方は車で10分も運転すれば、高級食料品店にアクセスできそうです。

 

生駒・奈良市西部

生駒・奈良市西部の高級食料品店

生駒・奈良市西部の高級食料品店は更に少ないです。エリア内では生駒駅(近鉄百貨店)と、大和西大寺(近鉄百貨店・成城石井)しかありません。とりわけエリア内で最も富裕層が多く住む学園前駅エリアには高級スーパーが全くなく、車で10分以上かけてどちらかに出る必要があります。

 

 

 

まとめ

以上より他の高級住宅地に比べて”学園前”のみが高級食料品店にアクセスしにくく、高級住宅地に住む方はやや不便を強いられるのではないかと考えます。もちろん単純な比較は禁物で、出店側もターゲット層人口や商圏分析を行うので、単に学園前の購買力がある世帯は阪神間や北摂に比べて少ないだけと見ることもできます。しかし筆者は学園前駅に高級スーパーがない(KINSHOしかない)のを以前から疑問に思っていたので、ここで言語化させて頂きました。