今里筋線は2006年に開業したミニ地下鉄路線であり、大阪メトロで唯一「全線がJR環状線の外側を通る路線」となっている。沿線に大規模なオフィス街や繁華街がないこと、御堂筋線や環状線と接続していないことから不便な路線と言われることも多く、営業収支も赤字だ。
北と南の延伸計画
そんな今里筋線について南は湯里六丁目方面、北はJR岸辺駅方面への延伸が構想されている。湯里六丁目方面には交通需要を測定するためにBRT”いまざとライナー”が運行されているが、利用率を見ると地下鉄延伸は難しそうだ。
一方北側は具体的な計画には至っていないものの、岸辺駅でJR京都線/阪急京都線と乗換ができ、岸辺自体も”健都”として大規模な再開発がなされていることから目的地需要も大きいとの意見も多い。
北はさらに万博記念公園まで!との意見も
さらに一部では、北は万博記念公園まで延伸すべきだとの意見も見かける。これは万博記念公園駅前が今後再開発され、オフィス・アリーナ・ホテル・住居などが立地することで、現行の大阪モノレールでは交通需要を捌けなくなるためだ。
万博記念公園まで延ばすならそのまま阪大へ!
ここまで述べたように今里筋線は北部への延伸構想がむしろ有効的で、沿線の再開発と延伸の相乗効果が期待できるように思える。
しかし大阪の都市力の向上を目指すなら、そのまま阪大に延ばした方がいいと筆者は考える。
不便すぎる阪大吹田キャンパス
大阪大学はざっくり理系の吹田キャンパスと文系の豊中キャンパスを抱えているが、阪急石橋阪大前駅と大阪モノレール本線が乗り入れている豊中キャンパスに対して、吹田キャンパスはモノレール彩都線からしかアクセスできない。
そのため梅田から吹田キャンパスに行きたいときは
①梅田⇒千里中央or阪急山田⇒万博記念公園⇒阪大病院前(乗換3回)のルート
②阪急千里線北千里駅から徒歩(15分ほど)
③付近各駅からのバスでアクセス(JR茨木駅からはバスで20分ほど)
など数通りあるもののどれもアクセスしやすいとは言い難い。
大学の立地は大学レベルやイノベーションにも影響する
このような不便な立地は優秀な学生を集めるうえで不利に働くし、産学連携や大学間連携も阻害しかねない。
逆に阪大への交通アクセスを改善すれば、阪大のポテンシャルは飛躍的に向上し、阪大-健都-大阪公立大学森之宮キャンパスが一本で結ばれることによる共創効果も期待できるのではないだろうか。
需要も見込める
地下鉄延伸の際に最も重要視されるのが需要の多さ/採算性である。莫大な建設費を考えるとやむを得ないことだが、阪大延伸案は需要の面でも比較的良案になると思う。
阪大吹田キャンパスはキャンパス人口約2万人で巨大業務地区と言って差し支えない。仮に同キャンパスを利用する人の3割が今里筋線を利用すれば、一日の輸送人員は20,000*0.3*2=12,000人にもなる。今里筋線の現状利用者数が68,000人であることを考えれば、これは充分な成績だろう。